生前贈与
生前贈与とは、生前にご自身の財産をお子さんや兄弟姉妹などに渡すことを言います。
個人の財産は、各個人の意思により自由に処分できるのが原則です。
生前贈与を利用するメリットをいくつかご紹介いたします。
生前贈与のメリット
皆さんは、贈与すると「お得」だということをご存知でしょうか?
「うちにはお金がないから関係ないわ」という方もいらっしゃいますが、それは違います。
金額に関係なく、家1つでも、少しの銀行預金であっても贈与することが可能です。
たとえ少しの財産だとしても、贈与しておくことで得られるメリットがあります。
2)自分の意思で財産を分けられる
3)相続税を減らしてあげられる
1)親族間での争いを事前に防げる
テレビドラマなどでお金持ちが相続争いをしている風景を
目にすることがありますが、現実の世界で揉めているケースは
財産の多い、少ないは関係ありません。
あなたの財産の総額が3億円だとしても、1,000万円に満たないとしても、
相続人の中に一人でも分け方に不満があれば、残念ながら揉めてしまうのです。
ところで、生前に遺言書を作っておくことで、争いを防げると聞いたことはないでしょうか?
遺言書を作成することはもちろん大切なことですし、
当法人でも遺言書は納得いく形で作成しておくことをオススメしています。
ただし、遺言書を単に作成すればいいというわけではありません。
当たり前ですが、相続発生後は、面と向かって、子供や兄弟に財産を渡すことができないのです。
したがって、相手が喜んでくれるかどうかわからないのです。
最悪の場合、相手が望んでいない財産を遺言によって与えてしまうこともあります。
その点、贈与は、あなたともらう人がお互いに納得した上で行いますので、あなたの意思とその理由を、周りの人にも納得してもらうことができます。
生前に「誰にどう分けるか」を話し合っていなかったことが、ほとんどの原因なのです。
(逆に言えば、生前に家族で話し合いをした上で、遺言書の作成ができれば相続人が全員納得する一つの方法なのです)
2)自分の意思で財産を分けられる
先に申し上げましたが、贈与はあげる人ともらう人が納得した上で行われますので、
相続のように自動的に財産が分配されるのとは異なります。
(相続の場合、借金も自動的に分配されてしまいます・・・)
また、時期や贈与する金額を決められることはもちろんのこと、贈与する際に条件などをつけることもできます。
例えば、
「銀行ローンを引き継いでくれたら」、賃貸マンションを贈与する
「私の介護をしてくれたら」、私が死んだときに600万円贈与する
「犬の面倒を見てくれたら」、この家をあなたに贈与する
など、あげる人ともらう人が納得すれば、その条件はどのようなものでもかまいません。
さらには、使い道も、あなたが指定することができます。
こんなにもたくさんの財産を一度に手にしたらこの子が心配・・・という場合には、
あげた土地は、賃貸用のマンションを建てることにしか使えない、
まだ小さい孫にあげる場合、留学資金としてしか使えないなど、指定することができます。
子供や孫、兄弟のことを考えると、このように条件をつけてあげることも
思いやりの1つなのかもしれません。
3)相続税を減らしてあげられる
税務署の統計資料によると、現在100人中4人が相続税申告をしており、
ほとんどの方が「自分は関係ない」とお考えです。
しかし、実際には事前に対策をしているから相続税がかからなくなったという方も
多くいらっしゃいます。
さらに、今後は確実に相続税の基礎控除額が減額されるため、
相続税の申告をしなければならない人は間違いなく増加します。
相続税の節税対策には色々な方法がありますが、よく使われる対策の1つとして
「生前贈与」が効果的です。
生前に財産を妻や子供などに贈与してしまえば、相続税を減らすことができます。
もちろん、たくさんの財産を贈与すると贈与税がかかるので、そこには工夫が必要です。
しかし、だからと言って何もせずにあなたが亡くなってしまった場合には、
対策すれば減らせたはずの多額の相続税を相続人(妻や子どもたち)が払わなければならなくなってしまいます。
せっかく妻のために不動産(自宅)を残したとしても、
相続税が支払えずに、結局今まで住んでいた自宅を手放さなければならなくなった
という話は少なくありません。それは、とても悲しいことです。
この悲劇は生前贈与などで、事前に防ぐことができるのです。
節税対策を踏まえた相続のご相談をお待ちしております
当事務所では、
「どのように贈与すれば、ご家族にとって一番良い形なのか」
を皆様とご一緒に考えます。ご自身の身にいつ何が起こるかわかりません。
ご家族の安心を考えるとき、今一度生前贈与の効果について考えてみて下さい。応援します。
なお、相続発生前3年内の贈与については、みなし相続財産として相続税計算の対象とされます。
すでに支払っている贈与税は、計算された相続税から控除されることになっている点は、知っておいて下さい。
なので、節税対策として生前贈与するなら元気なうちにしておきませんか?